暗黙知 (あんもくち)
「暗黙知(Tacit Knowledge)」とは、哲学者マイケル・ポランニーが提唱した概念。言語化・文書化が難しい、経験・直感・ノウハウとして身体や文脈に埋め込まれた知識のこと。「私たちは語れる以上のことを知っている」という命題が核心。
暗黙知とは
暗黙知(Tacit Knowledge)は、物理化学者から哲学者に転じたマイケル・ポランニー(Michael Polanyi)が1958年の『個人的知識』で論じ、1966年の『暗黙知の次元』(The Tacit Dimension)でまとめた概念である。「私たちは語ることができる以上のことを知っている(We can know more than we can tell)」という命題が出発点である。
自転車の乗り方を言葉で完全に説明できる人はほとんどいない。しかし乗れる人は確かにそれを「知っている」。この言語化できない知識が暗黙知である。
形式知との対比
ポランニーの暗黙知の考えを経営学に持ち込んだのが野中郁次郎である。野中は、「暗黙知(Tacit Knowledge)」と「形式知(Explicit Knowledge)」が相互に変換されることで組織の知識が創られるとするSECIモデルを示した。
形式知は言語・数式・図表で表現・伝達できる知識。マニュアル、手順書、データベースなどがその器である。暗黙知は熟練者の勘・経験から培われた判断力・身体技能・文脈への感度など、言語化が難しい知識である。
ビジネスでの重要性
組織の競争力の多くは暗黙知に宿っている。優秀な営業担当者が「なぜあの顧客に刺さるか」を言語化できないまま退職すれば、その知識は組織から消える。
だからこそ、暗黙知の形式知化(言語化・マニュアル化)と、形式知を実践を通じて暗黙知にしていくサイクルが、組織の知識資産の維持・拡大に不可欠である。
振り返りと暗黙知
振り返りは暗黙知の形式知化を促す行為でもある。「なぜうまくいったか」を言語化しようとすることが、自分の中の暗黙知を形式知に近づける第一歩である。
ビジネスStockrとの接点
ビジネスStockrでは、経験を言語化する習慣が、個人の暗黙知を徐々に言葉にしていきます。その蓄積が、組織の知識共有と人材育成の基盤になります。
参考文献
- マイケル・ポランニー(高橋勇夫訳), 暗黙知の次元, 筑摩書房(ちくま学芸文庫), 2003
- Wikipedia英語版, Tacit knowledge, Wikimedia Foundation, 2026
(2026年10月確認)
Contact