「自分の仕事もある」という前提からの出発
プレイングマネージャーとして働く多くの人が、似たような感覚を持っています。
自分のタスクをこなしながら、チームの進捗も見る。メンバーのフォローをしながら、自分の成果物の締め切りも迫っている。会議をはさんで細切れになった時間の中で、どちらも中途半端になっている気がする——。
「マネージャーなのに、マネジメントに時間を使えていない」という焦りと、「チームのことが気になって、自分の仕事に集中できない」という板挟みが、慢性的に続いている状態です。
この状況を整理するためのひとつの入口が、時間の使い方を構造的に考えることです。
「時間在庫」という見方
1日の時間を、消費できるリソースとして捉えてみます。会議・連絡対応・突発対応でかなりの部分が埋まる中で、「自分で意図して使える時間」はどれほど残っているでしょうか。
この「自分で意図して使える時間」が、プレイングマネージャーにとっての時間在庫です。
多くの場合、時間在庫は思っているより少ない。1日2〜3時間あれば多い方という人も少なくないでしょう。にもかかわらず、その時間をどう使うかを明確に決めていないと、目の前の緊急対応や作業系タスクで自然に埋まってしまいます。
問題は、時間が足りないことではなく、どこに使うかが決まっていないことかもしれません。
8割の成果は、2割の時間から生まれる
パレートの法則として知られる考え方があります。成果の8割は、全体の2割の活動から生まれる、というものです。
マネージャーにとっての「2割の重要事項」とは何でしょうか。業種や組織によって異なりますが、多くの場合こんな活動が含まれます。
- チームの方向性を確認する時間
- メンバーの状態を把握するための対話
- 自分自身の仕事の振り返りと次手の整理
- 重要な判断を要するタスクへの集中時間
これらは「じっくり考える必要がある」ものであり、細切れの合間にはできません。だからこそ意識して確保しないと、いつまでも後回しになります。
時間在庫の2割を、この重要事項に使うという意図を持つことが、セルフマネジメントの核心です。
「確保する」ことは、習慣にしなければ続かない
重要事項のための時間を確保しようとするとき、多くの人は「余裕ができたらやろう」と考えます。しかし、余裕は待っていても来ません。
確保するためには、先に時間をブロックする習慣が必要です。1日の終わりに「明日の2割の時間はここ」と決める。あるいは週の頭に「この週のふりかえりと1on1はこの枠」と入れておく。
その枠の中でやることは、シンプルで構いません。
ふりかえり(毎日10〜15分) 今日何が起きたか。何がうまくいったか、うまくいかなかったか。次に同じ局面が来たらどうするか。短くでも言葉にするだけで、翌日の判断が変わってきます。
メンバーとの対話(週に1回でも) 進捗確認ではなく、「最近どう感じているか」に少し焦点を当てた会話。これが、問題が大きくなる前に察知できる素地になります。
この2つを「やれたらいい」ではなく、「やる枠を先に決める」ことが、プレイングマネージャーのセルフマネジメントの要です。
マネージャーとしてのPDCAは、ふりかえりで回る
PDCAは、計画を立て・実行し・振り返り・次に活かすサイクルです。このサイクルを回す上で、最も実行されにくいのがC(確認・振り返り)です。
理由はシンプルで、振り返りは「緊急ではないが重要」なことだからです。他のタスクに押し出されやすく、「なんとなく今週も終わった」という週を積み重ねていくと、同じ失敗を繰り返したり、成長実感が薄れたりします。
毎日のふりかえりを習慣にすることは、マネージャーとしての自分自身のPDCAを機能させることです。
今週の判断は適切だったか。チームへの声かけのタイミングは合っていたか。あの場面でもっとうまくできたとしたら、何が違えばよかったか——こういった問いを日常的に持ち続けることが、マネージャーとしての精度を上げていきます。
10年後の自分の「マネジメント力」は、今日のふりかえりの積み重ねで決まる、といっても大げさではないかもしれません。
チームでふりかえりを共有すると、何が変わるか
マネージャーがふりかえりをしていると、次第に「チームでもやってみよう」という発想が生まれます。
メンバーが各自の仕事をふりかえり、それを短く共有する。1on1のテーマになる。週次のチームミーティングで「今週気づいたこと」を話す時間ができる——そういった取り組みが、チームとしてのPDCAを動かします。
個人のふりかえりが「個人の成長」に効くとすれば、チームのふりかえりは「チームとしての改善」に効きます。
「誰かが同じところでつまずいている」「この業務フロー、実はみんな不便に感じていた」——こういったことが、ふりかえりを共有する場で初めて見えることがあります。
また、メンバーがふりかえりを書いた内容が蓄積されると、1on1の準備が変わります。「先週何を感じていたか」がわかった状態で対話できるのは、マネージャーにとっても、メンバーにとっても、会話の質を変えます。
「余裕のあるマネージャー」は意図的につくられる
「余裕がないからふりかえりができない」という言葉を聞くことがあります。
しかし実際には、余裕があるからふりかえりができるのではなく、ふりかえっているから余裕が生まれるという順序に近いと感じます。
状況を整理する時間を持つことで、優先順位がクリアになる。優先順位がクリアになると、無駄な焦りが減る。焦りが減ると、判断の質が上がり、余計な修正作業も減る——このサイクルが、「余裕があるように見えるマネージャー」の実態です。
難しいことを始める必要はありません。今日の終わりに5分、「今日は何がよくて、何が微妙だったか」を書いてみる。それだけから始められます。
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